私の求める愛は重い
最近、また腐女子が再発している。
10年ほど前にハマっていたジャンルにカプ違いで沼ハマりし、毎日同人誌を眺め、pixivを覗き見、寝ても醒めてもそのカプに癒されている。
私の好きな攻めがこれまた包容力のある(設定でいる)男であり、優しく、男らしく、強引さもありながら受けを優しく包み込みめちゃくちゃに受けを愛している(設定でいる)。
それを見ていて思うのだが、私が現実的に求める愛はものすごく重いのだ、ということに気づいた。
一般女性が求める愛とはどんなものだろう。
自分を理解してくれる。
自分を一番に考えてくれる。
記念日にはプレゼントを欠かさない。
素敵なディナーを用意してくれる。
サプライズのプロポーズ。
優しく、怒らず、いつも穏やか。
こんなところだろうか?
例えば私が昔読んでいた人気の少女漫画やドラマなんかでは、傷ついた主人公のヒロインの子が何も言わなくても、ささいな仕草から落ち込みを察して寄り添ったりする。
「無理すんなよ」
「頼れるとこは頼ってよ」
「頑張りすぎ」
まぁ概ねそんなセリフを言う。
そこでヒロインは「私の事こんなに分かってくれてる」とキュンとするのだ。
私は、この「私のことを理解してくれる」というのが全然分からない。意味がわからない。昔友達がいた頃は、よく「彼氏が全然私のことを分かってくれない」と電話で愚痴を聞かされたものだ。店長時代は、バイトの子たちが彼氏と喧嘩したといって開店前によく泣くものだから、なだめすかしては話を聞いた。しかしそれは私の理解の外にある。
理解って何?人を理解するってどういうこと?理解されることで何が起こるのだろう。私は誰かを理解したいと思ったことも理解されたいと思ったこともない。なんなら、自分の子供たちのことも分からない。夫のことを理解しようと思ったこともない。
理解よりも具体的な手助けが欲しいし、家族には安心感や落ち着いて暮らせる環境を用意したい。理解する努力は必要かもしれないが、必ずしも「理解すること」に重きを置かなくてもいいのでは、というのが私の(稚拙かもしれないが)意見である。
だって、人間なんて何を考えているかはわからないものだから。
閑話休題。
さて、さっきのヒロインに寄り添う男のセリフを取り上げるならば、私は「頑張りすぎ」と声をかけられても嬉しくないし、別に誰にも頼りたくないし、無理しなければ子供を3人抱えて生きて行けぬ、という気持ちになる。身も蓋もないけど。
私の求める愛とは何か。
例え話になるが、私がつわりで苦しんでいるとする。余談だが、つわりというものは本当につらい。私は一度も仕事を休んだことはないが、こんな例は稀である。つわりの軽い私でさえ、体はだるく、吐き気が常に伴い、自分の唾液すら飲み込むことが難しくなる。匂いに敏感になり、特定の食べ物を異様に嫌悪するようになり、特定の食べ物を異様に求めるようになる。しかし上の子たちのために飯を作らなければならないため、吐き気を堪えて食事の用意をしなければならない。身体がいくらだるくとも、子供たちを保育園に迎えに行き、飯を食わせ、風呂に入れ、歯を磨いてやり、寝かしつけてやらなければならない。それが終われば掃除、保育園の準備、洗濯etc...
働く母は妊娠中も休めぬのだ。
私が家事をこなし、力尽きてソファに倒れ込んだ頃、先程の男(ヒロインに寄り添っていたイケメン)が帰宅してくる。ただいま、と穏やかな声で言うとすぐ、ソファで青くなる私に目を留め、直ぐに私のそばに膝をつき手を握ってくる。「どうしたの?」。具合が悪い、と言うと、彼はまるで自分にも体調の悪さがうつったかのように眉をひそめ、可哀想にと言う。「つわりが辛いんだな。お前、仕事も上の子達の世話も頑張りすぎなんだよ。そういう所が、いいところなんだけど···。無理しないで、頼れるとこは頼れよ。でも、ありがとうな。お腹の子のために頑張ってくれて」
どうですか?これ。平成すぎますか?令和の男は違うのだろうか?
0点。マジで0点。
私だったらその手を振り払って回し蹴りしてる。
こういうのが愛なの?こいつふざけてんの?膝ついてる暇があるならその床に散らばる子供の食べこぼしを拭け。顔色をうかがうな家の状態をうかがえ。口を開く前に手を動かせ。バラの花を贈るなら現金をくれ。その金で子供たちを託児して私は一人でカフェに行くから。
日常とは現実的で生々しい。可愛いね綺麗だよと甘い言葉を送り、妻の髪をなでてほほ笑むような男では生活が成り立たないのだ。私が求めるのは、ゴリラのように強靭で健康的で、リスのようにこまごまと立ち回れる男である。理解などいらないのだ。必要なのは屈強なフィジカルと、強靭なメンタル、必要最低限でもいいから継続的に金を稼ぐ力である。ほかのことはどうでもいい。
って書いてたら、私の求める愛ってまあ重いなって、思ったわけです。
そして最初の腐女子のくだり、いらなくねえか。